日本ロングアイアン協会
日本ロングアイアン協会
なぜロングアイアンなのか?
男子プロの間でも7番ウッドや11番ウッドなどを使う人が増え、その影響からかショートウッドがもてはやされています。
確かにウッドというクラブの構造から重心深度が深く球が上がりやすいという点、ラフなどからでもソールが滑って打ちやすいという点、慣性モーメントが高くミスヒットに強いという点は確かにアイアンと比べると利点と言えるでしょう。
しかし、それらの点は良い面ばかりとは限りません。
ゴルフとは不思議なもので、利点と思っていたことがが欠点にもなりうるのです。
球が上がりやすいという面はスピン量も多く風に負けやすい弾道とも言えますし、ソールが滑ってラフからも打ちやすいという面はボールに直接コンタクトが取りにくくコントロール性に欠けるとも言えます。
そして慣性モーメントが高いことはヘッドが返りにくく操作性に欠けるという面もあるでしょう。さらに、慣性モーメントが高いと、開いたり閉じたりして入ってきたフェイスをインパクト時にスクエアに戻すことがやりにくいという面もあります。
これらのメリット・デメリットをきちんと理解した上でショートウッドが良い、ショートウッドが自分に向いているという方もいらっしゃるでしょうが、自分のスイングの癖や傾向を知らずに闇雲にロングアイアンを難しいとするのは良いこととは言えません。
つまり、ショートウッドにはショートウッドが合う人がいて、ロングアイアンにはロングアイアンが合う人がいるのです。
これは打ち方の問題とも言えますが、重心距離と慣性モーメントが深く関係しているようです。
パーシモンの頃からゴルフをやっている人や腕の力が強くフェイスを返すのが得意の人、このような傾向の人はアイアンが得意でウッドが苦手なことが多いです。
パーシモンはいまのウッドと比べると慣性モーメントが低く、重心距離も短めです。
またアイアンも慣性モーメントは低く、重心距離も短いので、パーシモン時代のクラブとはとても親和性があり、違和感の無い繋がりがあります。
重心距離が短ければそれだけヘッドを返すのに力はいりませんし、慣性モーメントが高いクラブは開いたり閉じたりしながら入ってきたフェイスをスクエアに戻すのが難しいのです。
重心距離が短いことはそれだけ操作性が高いということであり、操作性が高いということはそれだけオートマチックには打ちづらいということを意味します。
また、「慣性モーメントが高いから球が曲がらない」ということは一面では正しいですが、それはフェイスがスクエアに入ってきた場合に限ります。
フェイスがスクエアに入ってきた場合、トゥ側に当たってもヒール側に当たっても慣性モーメントが高ければインパクト時にフェイスが開いたり閉じたりする量が少ないので結果的に球は曲がりにくくなります。
が、しかし、インパクト直前まで開いて入ってきたフェイスはインパクト時にスクエアに戻そうとしても戻りきらなかったり、逆にインパクト時にスクエアに戻そうと頑張った結果、勢いがつきすぎて戻しすぎるということもあります。
戻りきらない場合はスライスとなり、戻りすぎてしまった場合はフックやチーピンとなります。
つまり、重心距離と慣性モーメントという2つの側面から、フェイスを上手くターンさせることに慣れているプレイヤーはウッドよりもアイアンの方が向いていると言えるのです。
それぞれのゴルフスタイルにあったクラブを選択するのは本来自由であるはず。
もちろんロングアイアンというクラブを選択する自由もあって欲しい。
ショートウッドばかりではなく、このようなゴルファーのためにロングアイアンという選択肢も残していって欲しい。
それが当協会設立に込めた思いでもあり、要望でもあります。